53 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/07/28 03:01 ID:7iFTLzZr

友人の話。

学生時代、部合宿でキャンプをしていた時のこと。
夜中にテントの周りをぐるぐる回っている足音が聞こえた。
彼は不安がる後輩に向かってこう諭した。

 あれは山にいる動物がうろついているんだけなんだ。
 心配することはない。人間を襲うほどのヤツはこの辺にはいないから。

翌朝一番に起きた彼は、テントの周りに残されていた足跡を見て黙り込んだ。
いや、率直に言うと、それは足跡ではなかった。
五指を開いた人間の手形が、テント周りの湿った地面に穿たれていたのだ。
それ以外の痕跡は見当たらない。

テントの周りを巡っていた物は、一体何だったんだ?
彼は我に戻ると、後輩たちが起きてくる前に、その跡をすべて消してしまった。
キャンプ中、それ以上奇妙なことは起こらなかったそうだ。






54 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/07/28 03:03 ID:7iFTLzZr

知り合いの話。

彼女が友人の家族と山菜取りに出かけた時のこと。
里山を下る帰り道で、奇妙な足音がついて来たのだという。
スタッスタッと草履で歩くような音がするのだが、足音の主は見えないのだ。
よほど上手く隠れているらしい。

一体どこからついて来ていたのか分からなかった。
こちらが足を速めると足音も早くなり、緩めると間延びした。
一定の距離を保って、絶対に離れなかったそうだ。
そのうちに彼女は痺れを切らして立ち止まり、後ろに向かって叫んだ。

 隠れていないで、出ておいで!

一瞬の間が有り、やがて足音だけが、皆の横をスタスタと駆け抜けていった。
目には何も見えなかった。

隠れていたんじゃなくて、本当に本体がなかったんだ。
皆は呆れて見送ったのだそうだ。



55 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/07/28 03:05 ID:7iFTLzZr

友人の話。

山深い峠道を車で走っていると、行く手の路上に何かが蹲っていた。
速度を落とし近寄ると、それは猿の赤子だった。
クラクションを鳴らしても逃げようとしないので、追い払おうと外に出る。

彼が近づくと、猿はすっと立ち上がった。
途端、違和感を覚えたという。
猿の身長が伸びたような気がしたのだ。

困惑する彼を尻目に、猿はスタスタ歩き出した。
赤子だった猿は、いつの間にか子猿ほどになっていた。
間違いない、この猿は見る間に成長している!

更に二歩ほど進むと、猿は立派な成猿になった。
もう二歩進むと、背中が曲がり、体毛も白くなった。
どうやら老猿になったらしい。

尚も歩き続け、骨と皮だけになった猿は、道路を渡りきる寸前*おれた。
いきなりの風で、猿の身体はそのまま風化したように吹き飛ばされた。
カランと骨が落ちるような音がしたが、それもすぐに風に散り散りになる。

後には白い毛が数本、路上に残されただけだった。



97 オマージュ :04/07/29 18:29 ID:msptMyCw

友人に天気がわかる人がいる。
的中率何パーセントとかいうレベルではなく、ずばり当ててしまうという。
ある時日の出を拝むため山に登り、山小屋で仮眠をとっていざ目覚めてみると
外はものすごい土砂降りになっていた。

他のグループが諦めて寝直しにかかる中、彼一人外に歩き出した。
それを見た山小屋の親爺が慌てて、「危険だから今日はやめろ、この雨は当分止まない」
と引き止めたそうだ。
絶対に晴れると確信していた彼は親爺を振り切って歩き出した。
果たして、雨はほどなく止み、頂上で日の出を拝みながら彼は持参の酒を一杯かたむけたそうだ。

ちなみに下山するとき、再び雨が降り出した。
山小屋に戻ると、親爺が「ほら見ろ、いわんこっちゃない」とあきれる声が聞こえた。
どうやら、そこでは一日中雨だったらしい。
彼は説明するのがめんどくさいので、「失敗しました」と言って笑っておいたそうだ。



98 オマージュ :04/07/29 18:30 ID:msptMyCw

その友人の話

彼が山登りをしようと計画した週に、台風が直撃したことがあった。
友人は既に諦めモードだったが、彼は絶対この雨は止む、と信じていたので、
友人に計画通り荷造りしておくように電話した。
果たして当日、台風一過すばらしい青空が広がっていた。

友人は喜んだが、彼は釈然としない。感じたことのない違和感があった。
(まだ、水の気配がする。もう一雨くるのか?)
道がぬかるんでいるから、とか適当に理由をつけて彼は登山をやめさせた。

その日の夜、夕食を食べていると友人が電話をかけてきた。
今すぐテレビをつけろというので見てみると、ニュースで山が映し出された。
観光客数名が鉄砲水に飲まれて行方不明だという。
彼が登ろうとしていたまさにそのルートだった。

(この事だったのか)彼はぞっとした。
何もしらない友人は、「俺達は運がいい」と無邪気にはしゃいでいたそうだ。