304 聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :04/09/03 00:12 ID:+djG5rAi

年寄りに聞いた話。

初夏のある日、山で仕事をしていると桜の花びらが落ちてきた。
不思議に思って首を巡らせたが、辺りには桜の木の一本すら見当たらない。
ひらり ひらり
薄桃色の花びらは、夕刻になって山を下るまで、どこからともなく降り続いた。

里に入ってすぐ、地蔵堂の前でしゃがんで手を合わせている妻に出会った。
「おめでた、ですって…」
小さな声でそう告げると、妻は少しはにかみながら微笑んだ。





305 聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :04/09/03 00:13 ID:+djG5rAi

友人に聞いた話。

小学5年の夏休み、山中の渓流で遊んでいた。
逃げ回る魚を追って、岩の隙間に腕を突っ込む。

次の瞬間、何者かに掌を掴まれてグイッと引っ張られた。
まごうことなき人の手の感触。
驚いて腕を引くと、するりと抜けた。慌てて河原へ。
振り返ると、大人の背丈程もある大きな岩がグラリグラリと揺れている。

あとは、後ろも見ずに山を降りたそうだ。


306 聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :04/09/03 00:15 ID:+djG5rAi

友人に聞いた話。

小学生の頃、父親と二人で山道を下っていた。
霧が出ていたので、互いに手を繋いで足元を見ながら歩く。
と…ふいに父親の手に力が籠った。
「お父さん、痛いよ」
そう言って顔を上げた。
父親は前方を睨んだまま険しい表情を浮かべている。
その視線の先を追うと、霧の中にぼんやりと小さな人影が見えた。

「見るな!」
突然、父親が大声で吠えた。「目を瞑れ!儂がいいと言うまで絶対に開くな!」
只事でない剣幕に、慌てて目を瞑る。
そのまま、父親に引き摺られるように歩き続けた。
ジャリッ…ジャリッ…
足音が二人の横を通り過ぎる際、小さく呟く声が聞こえた。
「ナンマンダブナンマンダブ…」

それから20年あまりの月日が経ったある日
久しぶりに父親と酒を酌み交わしていて、あの時のことを思い出した。
「あの人影、誰だったんだ?」
父親はしばらく黙っていたが、やがて渋々といった様子で呟いた。
「お前だった」
それっきり何も言わず、父親はコップ酒をあおった。


319 ホメイニ氏 :04/09/03 13:04 ID:ADMxIO8Z

高校の時、体育の先生に聞いた話ね。うろ覚えだから細かい所は違うかも。
その先生が学生だったころって言ってたから、今からすれば大体25年くらいまえかな。
仲のいい友人たちと一人暮らしのヤツの所で飲み会してたんだって。
中には女の子もいたらしいんだけど、その女の子が部屋に入ってからやたらと
「なんか寒い、寒い」って言うんだって。
みんな「大丈夫?」くらいでほっといたそうで、バカ話に華を咲かせていたらしいんだ。
んで、ふっと気づいたらさっきまで「寒い」って言ってた子が俯いて黙り込んでる。
みんな「どったの?」て感じになったらしいんだけど、
そしたらその子がものすごい形相で部屋の主(だったかな?)を睨み付けて
いきなり罵倒しだしたんだって。
内容は「先祖の墓参りもせずに、このバチ当たりモンがっ!!」ってなことらしいんだけど、
女の子なのに、声が全然違う男の声になってたらしい。
で、その子、そんな恨み言を叫びながら相手の男に飛び掛って首を締め出したらしい。
一気にみんな、酔いも冷めちゃって、あわてて女の子を止めに入ったそうなんだけど、
これが驚いたのなんのって、大人の男が数人で押さえにかかってもびくともしない。
それでもなんとか女の子を押さえ込んだ時には、相手の男、泡吹いて気絶してたって・・。
「先祖は大事にせなアカンぞ」とその先生は言ってたけど、
授業中に腹が痛くなったと言って、生徒を残してグランドの裏山で野グソしてくる先生も
立派にバチ当たりモンだと、山神さまだとか出てくるここのスレ読んでて今更ながら思った。


322 本当にあった怖い名無し :04/09/03 13:57 ID:f29+8R+u

たいして怖くないので申し訳ないのですが……

妙義山の登山ルートで、通称「裏妙義」と呼ばれる初心者向きのコースを
数人で登山に行った時の話しです。トンカチ岩を堪能して下山し始めて
途中で休憩を入れました。山の北斜面で、小さな滝と滝壺があって
空気が冷たくて気持ちの良い場所でした。
ふと、視界の端に何とも違和感のあるものが。滝の側に、イーゼル?
とかいう油絵を描く時の支えが、ポツンと放置されているんです。
何だろうと近寄ってみましたが、イーゼル以外に荷物も何もありません。
絵を描きに登ってきたはずの人は、見渡せる範囲にはいませんでした。

仲間の元に戻ってイーゼルの事を話すと、ん? 人ならさっき男の人が
いたけど? と仲間の一人が答えました。うそだー、誰もいなかったよ?
というと、黒っぽい服装の帽子を被った男の人が滝の所にいた、と。
どの辺? ときくと、ほら、あの辺り、と滝壺の反対側、滝の流れ落ちてくる
対岸の大きな岩の辺りを指さしました。
……ふーん、とその場ではなにげに返事をしたのですが、滝の側まで
行くと分かる事に、その岩までは道が付いていないのです。泳いで
行くか滝上から下りてくる以外に方法がない。ちょっと気味が悪かった
のですが、無理矢理気にしない事にしてそのまま山を下りました。

下まで降りて登山道もそろそろ終わるという所で、数台のパトカーと
周りに大勢の人だかりが。何だろうと側にいた人に尋ねると、1週間くらい
前に行方不明になっていた男性が、奥の沢で遺体で発見された、
という事でした。
遺体は既に何かに覆われていて、どんな服装だったのか、帽子を
被っていたのかは分かりません。でも何故か、仲間も含め全員が
さっきの滝の所の人だ……と思いました。
あの黒い服装の男性は、今でもあの滝の側に佇んでいるのでしょうか。


331 本当にあった怖い名無し :04/09/03 22:19 ID:8GOC6UZ8

東北の猟師の話に似たようなのがある。

吹雪いている夕暮れ、山中を老父と息子が獲物を探し歩いていた。
すると前方に、白い着物に赤い帯を着けた女が立っている。

老父は息子に向き直り、小声で話した。
「いいか、あの女の横を通り過ぎる時には、話し掛けられても
 黙ったまま顔を見ないで進め」という。

二人は黙って女の横を通り過ぎたが、息子は気になり、うつ向き
ながらも通過の瞬間、女の顔を見た。

女の顔は雪で出来ていた。

後で老父に聞くと、「あれは雪女だ、話し掛けられて返事をしたら、
 お前の命はなかった」と言った。


355 聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :04/09/05 00:20 ID:wOMYurfL

猟師に聞いた話

猟を終え、軽トラックで山道を下っていた。
荷台の檻には犬が2頭。
途中、うっそうと茂る森に差し掛かったところで突然犬たちが吠え始めた。
何ごとか、とバックミラーを覗く。
荷台を見通す小窓に、一瞬人の顔が覗いたかと思うとすぐに引っ込んだ。
異様なまでに無表情な男の顔。
驚いてブレーキを踏み、車を降りて荷台の方へ。
そこに人の姿はなく、檻にも異常はなかったが、中の犬が1頭消えていた。
もう1頭の犬は「何か」に怯え切っており、以来猟犬としては使いものにならなかった。


356 聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :04/09/05 00:21 ID:wOMYurfL

Fさんに聞いた話

杣人のFさんはもう70過ぎの老者だが、山足が異常に速い。
かなり険しい斜面でも平地と同じスピードで歩く。
体力自慢の作業員でも、Fさんのペースには付いていけない事が多い。
ある日、その理由を問うてみた。
「若い頃、山伏について修行してたんだが…」
自宅の上がり框で、Fさんは靴下を脱いで裸足の足裏を見せてくれた。
土踏まずの辺りに親指ほどの穴が開いている。
「ここから筋を一本抜いてもらってから足が軽くなったんだ」


357 聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :04/09/05 00:22 ID:wOMYurfL

Fさんに聞いた話

はしごに昇って枝打ちをしている最中、
足元でガサガサと音がしたので見下ろしてみると、妙なものが居た。
人の頭ほどの毛の固まりから、細い人の手足が数本ずつ生えている。
そんなものが、手足で草を掻き分けて森の中へ消えた。
「人に化けようとしたんだろうが…ありゃデタラメだ。あいつら目が見えんからな」
Fさんは平然とそう言ってのけたが、「あいつら」が何なのかは教えてくれない。